溜息集積場 出張所

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「戦隊レッド 異世界で冒険者になる」アニメ 1クール完結によせて

異世界レッドの原作を読まぬままアニメを見る人々は幸いである。その人たちは観たこともない物語を見る驚きを得る。

異世界レッドの原作を読んだ上でアニメを見る人々は幸いである。その人たちも観たことのない物語を見る驚きを得る。

集積屋

「戦隊レッド 異世界冒険者になる」(以下「異世界レッド」アニメ第一クール(強調)が完結したので、それによせての文となります。色々雑多だったり、ある程度は厳しい話をしたりもするかと思いますが、ご了承の上お読みください。
そして、最初に提示しておくと、至るべき結論はただ一つです。

続きを!!早く!!見せてくれ!!!!!!!!!

管理人が異世界レッドという作品・原作漫画に対してものすごい勢いでズブズブになっていた件はすでに過去記事で触れているので、今回は割愛します。
ところで原作の9巻がアニメ放送中に刊行され、その内容を見た結果、この原作は『中吉虎吉という人物がなぜか俺の走馬灯を勝手に書いてる』という事態になりつつあるな……とかなり本気で確信しつつある。
だってそんな  テルティナのあれはある程度推測してたけど そこでまさか レスキューファイアーを持ってくるとは思わねえよ……(本当に読んだ人しかわからない表現)
これは今後原作を追いながらおいおい書きたいところではあります。真剣にこの作品、スーパー戦隊を基礎としながらも1990年代以降の特撮作品をあらゆる観点から総覧しながら『異世界作品』という枠組みの中で融合しようとしている」局地的なコンクリートレボルティオの後継者なんじゃないかと考えてるので。

さて今回の本題は原作ではなくアニメの方、かつアニメ化決定の報〜アニメ放送開始までに原作を追いかけ始めたぐらいの視聴者という立ち位置であることをご承知の上でお読みください。

まず厳しめの話からいきます。序盤時点で何度か思い過去記事にも書いた、『絵/画の力が弱い』という印象、これは1クールを通してずっと付き纏ってしまったな、というのが正直な印象としてありました。どこかが突出して悪いというよりも、アニメーションとしての絵作りが全体としてパワー不足・低調な印象が拭えなかったように感じます。原作漫画自体が、絵にものすごくパワーが載っている・画としての演出力がものすごく高い作品である分、それをベースに映像化すると聞いた際に抱いた期待に届いていない印象が強かったかな、というか。
(そんでもって何度か書いている通り、管理人にとって川口監督が直近で担当されていた作品といえばシャドウバースシリーズであり、あちらではほとんどそうは感じなかったことに、サイゲの資金力ってすげえんだな……』と改めて感じ入ったりもする)
一方、本当の本当に決めなくてはいけない・ここを押さえないとコンセプト自体が瓦解する、という場面に関してはかなり力の入ったカットがいくつも見受けられた(具体的に言うと8話でのレッドvsバンソウキラー戦や11話でのキズナカイザー戦の一連、それにもちろん最終回)のも事実で、おそらくは限られたリソースの中で最大限の効果を発揮できるよう苦心されたんだろうな……と見えたのは評価したいというか、全部が全くのマイナスだったわけじゃないよね、と思わせてもらえる部分でした。

この画の印象と裏表のような話なのですが、今回のアニメ化は本当に声・音の方面がものすごく強くて、こちらがあまりに強すぎるが故に画がなおのこと力不足に見えてしまったのでは?と考えてしまうほどでした。
声という観点ではまず何を追いても主演の井藤くんが凄まじくてさ……。浅垣灯悟という、ただでさえとてつもなく難しいキャラを、あのキャリアで演じ切ったのが正直信じられない。最終回とかこれ収録どんな状況だったんだ……!?と思わせる鬼気迫る熱演で、あの年齢での初主演でこれできちゃうの今後が恐ろしい。ぜひまた灯悟を演じてほしい……。実現してくれ……。
井藤くんに限らずメインキャストの皆様もちろん素晴らしかったのですが、あえて挙げるとラーニヤの白石さんのスイッチングの見事さ・アメン時の力強さもまた印象的で、白石さんの演技って他作でもちょくちょくは聞いているのですが、1作の中でこんな幅広い取り方のできるキャストさんなんだ、と改めて驚かされる体験でした。

そして何よりも腰を抜かしたのが構成。当然大まかには原作を踏襲しながらも、序盤ではキズナファイブパートを原作よりも相応に盛って見せることで「ああそっちに振っていくんだ」と思わせ、問題の8話でさえその延長線上だった上で、後半では原作になかった要素を異世界側のパートで徐々に盛っていき、最終的にはまさかの「最後の最後で『本題』に到達させずに締める」「その一方で、原作では全く見せていない要素を突然見せる」という特大の予想外を豪速球で投げてくるという見せ方にひっくり返りました。最終回のラストパートとか声出たもの。
キズナビーストってどっから来てるのか?」「キズナファイブ側の認識としてはどうなっているのか?」という疑問は原作を見ていればある程度は湧いてくるんですが、管理人は「1話の冒頭は『キズナファイブ最終回のAパート』で、『異世界レッドの最終回がキズナファイブ最終回のBパートになる』」……のだろうと思っていたところ、キズナファイブ本編はあれで完結しています」「普通に2年目が始まっています(ただし巨大戦が必要な敵は出なくなっている?)」という、デンジマンからサンバルカンみたいな状況になっているらしいことの示唆。
一方で原作読者としてはまさかこんなところにアニメ化を一旦切ることができるポイントがあるとは微塵も想像していなかった箇所での(一旦の)完結、1クールのうちに絶対にここまでは到達するだろうと考えていた/ただしこれに触れると半自動的に2期をやらざるを得なくなる/場面の直前でああ締める、というのは確かに冨岡さんレベルのベテランじゃないとやりようがないのかも……と納得する、ちょっと全く予想していなかった、しかし実行されたことが嫌かといえばそうでもないという、かなり不思議な感覚を覚えた構成でした。度肝抜かれた。
正直ここで終わられるとかなりもったいないというか、先の物語を読むのはそら原作を読めばできるのですが、原作にないことをここまでやられた上でここで終わり、というのはあまりに生殺しが過ぎる上、ただシンプルに、「中吉先生の原作を軸にこの人たちが作る『この先』を見たい」「あれもこれもそれも『どうする』のかを見たい」という欲求がかなり高まっているので……2期……といわず…… EDのあの……イドラの姿が出るところ……より先まで……絶対やってほしい……。
(そしてもっと欲を言うと作画班の層をさらに分厚くしてほしいという思いは正直あります。今期のサテライトさんは3作並行だったらしいので、作品数が少なくて余力のある時期ならなんとか……なりはしないか……!?)
とりあえずキズナカイザーのプラモは買うので……予算が許せば3体ほど……。

最後に一つ余談。
管理人、アニメ放送中に

www.pixiv.net

こんなSSを書いていたんですけども。
アニメの構成がこうなった結果、原作読者の方はともかくとして、2作のアニメ版のみを観ている方々には「なんでこれを書いたか」「キャプションに書いていることの意味は何か」の根幹の部分(=『異世界転生しているM・A・Oさん演じる人物』というファクター) が全く伝わらない、そもそも映っていない事態になったこと、めちゃめちゃ面白いな……、と思ったりしています。
というか中吉先生、8割以上の確率でゾイドに限らない上山先生の漫画読んでいるはず(あの年齢で『ゾイドが好き』な人物が90年代後半〜00年代前半のコロコロ通ってないわけないでしょ!!!!!!!!)と推測されるので、『グレイスの声はM・A・Oさん』と発表された瞬間気失ってたんじゃないかと勝手に思っている。どっかで明かされてくれないかな……。

最後に半分ぐらい自作語りになってしまったのがお恥ずかしいところですが。
率直にいえば不満なポイントから書き出しつつ、それを踏まえてもなお魅力的で予想外だった、この先を絶対に見せてほしい、という思いを、特に整えないまま率直に書き殴った文章なので、正直可読性は良くないだろうと思いながらも……。
これだけの好き勝手をやってのけ、「仮に次があったらとしたら一体どうなるのか」を、原作を一通り読んだ読者にすら全く予想させないアニメ化を実現したスタッフの皆様、それをしっかりと届けてくれたキャストや他の形で関わられた皆様。まずはお疲れ様でした……という感謝の意を伝えるとともに。
あなた方このまま逃げ切るなんて許しませんからね?
あれもあれもあれも、絶対にこの1クール目と同等の、いやこれをさらに超える驚きをもって新しい形で見せてもらわないと承知しませんからね???
という思いでいる視聴者の1人として、現時点での思いを、このように書き残させていただきます。

ブキヤの皆さんもできればキズナカイザーだけじゃなくて各人キャラプラモもよろしくな!!買うので!!!!!!!!